飲酒運転の被害者を救済するために ~自動車保険は必要保険です~

2009年6月19日

社会法人 日本損害保険協会 沖縄支部事務局長

石川 邦夫

 

飲酒運転事故で被害者に重大な損害を与えてしまった場合のことを考えてみましょう。

2001年10月、酒気帯び運転の加害者が制限速度(時速40キロ)超過でセンターラインを超えて対向車線に進出し、前方不注意のため被害者にノーブレーキで衝突した事故が発生しました。この事故で被害者の郵便局員(男性・37歳)は、遷延性意識障害(いわゆる植物状態)の重度後遺障害を被りました。この事故の損害賠償訴訟では、2006年09月27日、千葉地裁佐倉支部は加害者に総額3億5,000万円余りの支払いを命じ、その後加害者側は控訴しましたが、高裁で一審とほぼ同じ内容で和解となりました。

 

このほかにも、女児2名が死亡した東名高速道路事故の2億5,000万円(東京地裁判決2003年07月)、タクシー乗客3名が死亡した愛知県津島市の事故の2億1,000万円(名古屋地裁判決2005年11月)などで、飲酒運転事故の加害者に高額な賠償を命じています。最近は賠償額の高額化により、1億円を超える事例も珍しくありません。

では、このような高額な賠償金をどのようにして支払えばよいでしょうか。法律で加入が義務付けられている自賠責保険では、飲酒運転事故による損害は補償されますが、支払限度額が設定されているため、死亡の場合3,000万円、後遺障害の場合4,000万円、ケガの場合120万円までの補償となります。

 

さて、この自賠責保険の支払限度額を超える損害賠償はどうすればよいでしょうか。数千万円、数億円といった大金は簡単に用意できるものではありません。そこで最も有効な策として考えられるのは、自動車保険(任意保険)の対人賠償保険に加入することです。万が一の場合に被害者にせめて経済的な償いができるよう自動車保険で十分な賠償資力を備えておくことがドライバーとしての責任です。特に車社会の沖縄県では、自動車保険はすべてのドライバーにとって必要保険であると言えます。

なお、飲酒運転事故の場合、自動車保険では、他人のケガや他人の物の損害は被害者救済の観点から補償の対象となりますが、加害者自身のケガや加害者の車の損害は補償の対象となりません。